こちらでは今後川柳を中心に据えて取り組みます。
ともすれば川柳はほかの定型詩に比べて、低く見られがちですが、川柳は物事を真正面からだけでなく裏にも側面にも回り本質を把握しようとします。これを、穿ちと言います。
何う【どう】坐り直してみてもわが姿 井上信子
病人のかほを残らず蠅あるき 川上三太郎
おあいこにして別々の汽車に乗る 山本 乱
切り取った爪が思い出し嗤いする 山本忠次郎
はんぶんとはんぶんひとつにはなれぬ なかはられいこ
何も考えなければあの世にたどりつく 佐藤みさ子
出世しています汚職もしています 岸本水府
本当の事は云えない酒を飲む 野村圭佑
一枚のハガキに傘をさしかける 時実新子
臨終へまだ明日のある文が来る 田中五呂八
善人と思われ今日もサンマ食う 万 迷多
すぐぬげる他人の靴をはいていた 福田文音
残酷なおとぎ噺よバイアグラ 佐藤美文
映画ならもっと悲しい靴の音 瀧 正治
人形を抱いて夜明けを待っている 海地大破