3月川柳(3)
3/20・・・5
電網の中に拡がる新世界
現実の秋葉原なぞ祝祭場
日常の太鼓をたたく声もなく
都心志向の狸いて歩かせよ
人間がいて狸おり蚊帳の中
3/21・・・6
心得て不要の品の多いこと
モノ借りて物を作りて捨てられず
電脳に時を編ませるブログかな
電網のクラウド雲に遺産あり
精神の自由を欲し保守という
自由こそ保守の連帯もりあげる
3/22・・・5
図らずも彼氏宣言春はやて
ブラックミュージック聴くと眠くなる
働かずサンタ・マリアの膝で寝る
しんとして彼女宣言待ちいたり
さりながら自ら問うて腕を組む
3/23・・・5
遠澄みの心のひだに青霞み
白ボケる額のために幕を引く
黄の薔薇や男の世界趣味じゃない
それだけの結果平等穴の底
どれだけの成果配分ひとり勝ち
3/24・・・6
花散らす目白群がる八分咲き
眠くなる日課となりてかたつむり
誰かへと呼びかけながら飲酒癖
桜靄瓦に移り銀鼠
幻想のカダフィの天下今壊れ
カダフィの傭兵帰るやクーデター
3/25・・・5
貶めた己が姿に花散らす
あふるまま心配ばかりする人よ
ありふれた季節の中の耶蘇の寺
しゃれこうべ胸に抱けり春ほとり
眼の前に題目並べうたづくり
3/26・・・7
花の死を待つわたくしがここにいる
街角の隣に森が控え居る
てのひらのうえに無数の点があり
その人の住まぬ句の中われが住む
舟虫よ岩の形で動く岩
ふと黙り心音を聞く夜の口
胸の中サソリ一匹居座りて
3/27・・・7
原潜を持ってみたいとねだり癖
テロリストの父はアラーに背かれず【そむかれず】
日本人の弱さが作る逆差別
テロリストアラーの道に背きつつ
ひょっとして春は身ぐるみ脱いでいる
雨空を引き裂いて飛ぶ戦闘機
春あかね出戻り娘顔を出す
3/28・・・5
晴れ空に尻切れトンボの飛行雲
うそ寒の春を追いだし夏威張る
満開の花は散らされ溝に積む
はつ夏の汗を絞って髪を刈る
苦労性笠の雪など振り払え
17:00チャイムとともに父帰る
3/29・・・5
騙されるあけっぴろげの裏話
ふるさとは話すべからず捨ててきた
このここを古里として思いこむ
せめてもと死し去る時はあれに埋め
ふるさとは墓のみありて防護服
3/30・・・7
新しい季節騒がす蝉の声
山を出で托鉢をする小鶯
穴を出で生きとし生きる虫の春
花宴人に疲れて帰りくる
旭日旗黒く染め変え攻めるのみ
前衛を気取って穿ち穿たれる
詩を追うな穿ちの中に柳あり
3/31・・・6
電線も重たい割に風に揺れ
春蝉よ黙っておればいいものを
変態のごっこが過ぎて人変わり
成り果ててはんぶんふたつひとりづつ
人来ずも独りになってわかるもの
以上
平成25年三月川柳236句