3月川柳(2)
3/09・・・6
セキュリティー戦う前に立ち上げる
実戦は初期化できないアホウドリ
挑発に乗らぬ戦い武者震い
本能寺敵は裏庭いざ勝負
三方がみな戦いの敵となる
これ見よと戦う狼煙上げている
3/10・・・12
はたりここ夢の断片繋ぎあう
缶蹴りの鬼になってた午後の露地
缶蹴られ数を数える百いくつ
一番に見つけられたら鬼になる
探してる途中で缶蹴り振り出しに
友達の後ろ姿に銃を向け
モニターは尺余の中に地球あり
空の青 死をも溶かして虚無抱く
戦場は庭先でなく家の中
人間の府であり肺腑なり
今日は春先の風なりどっと来る
眠ってた肝臓の心舐(ねぶ)ってみ
3/11・・・9
音もなく霾(つちふ)る夜に言挙げを
支那の民もろとも捨てなその国を
言挙げて新たな国を興されよ
頬の線たくましくあれ息子たち
しなやかに雌しべ雄しべを営めよ
ただ生きるそれだけの生と思うな
一竿を垂れ春潮に心置く
やまと歌こころを種に世に茂る
面忘れ我れはしかねつ君思う
3/12・・・16
考える蛙のうたに耳を貸す
なまなかに子に許されてみたいもの
沖縄を徘徊するもの人民報
一本のふんどしを見よサラは無い
三月の中にも秋の虫の声
健康にかまけて大事忘れ果つ
他人事と思わずやれよPの世話
投資家のターゲット衝く勘どころ
大鎧いつの時代の文化財
寒くても窓を開ければ春はここ
春なればつい一日を窓開けて
芽柳を育みている枯れ葉あり
芽吹きつつやっと葉が散る柳かな
身の回り整理もしかね苦笑い
灰皿とマウスの場所をとり合わせ
本広げキーボード場所固定する
3/13・・・6
孫がいて子もいて宝ほかになし
居住まいを正されわれとあと一人
通り雨花は笑って流れゆく
蚊も太り血を吸いに来て叩かれる
花は飛び散って今をとどむる
名こそ惜しめというが花なり
3/14・・・5
うつろいは四季のほかにも人の性
風があり人生があり夢帰る
屋根板をはがして椿ほれぼれと
高き山山脈の中にあってこそ
平民というが日本に貴賎なし
3/15・・・9
噛みたくて路上にバラを手で拉く(しだく)
手を挙げよ醒めきった夜振り向かず
歯を鳴らせ通りすがりのジャコバン派
川魚を手で捌く目で捌く人
うつむいて鋼鉄の視線地を掘る
物語り一片の薔薇土に撒く
青年は敗北の歌丸のまま
春の風邪大したことはないはずの
ひとまずは暖めておりパンも食べ
3/16・・・5
ブランコをこぐときいつも雲がわく
シャボン玉消えなかったらどうなるの
夕焼けの中に夕陽を探してる
闇の中星を見つけて黒い星
タンポポや冬が混ざって春がいて
3/17・・・5
一切の誇張を捨てて人は立つ
よべまでのアバンチュールを泣いている
出頭の朝餉は足りて髭を剃る
別名で手紙を送る四畳半
いつの間にフェイスブックは俺を捨て
3/18・・・5
くずれ墜つ天地のまなか爆心地
線路沿い金いろの麦波うねる
もちかえる地球のような風船を
この一個それだけに在り椿かな
嘘だろう吐きつくしたと哭いている
3/19・・・5
まっしろな釉を選んで茶と掛けた
肴が華葉っぱ一枚出しゃばらず
踏ん切りをつけて底部の台を切る
薔薇いろの果実をえがくつるべ井戸
すでにして言葉のたてがみ凍結す