悪茄子【わるなすび】帰化植物ナス科ナス属の多年草です。もともとは、アメリカ合衆国南東部(カロライナ周辺)の原産で、世界中に帰化してその分布を拡大
日本では、昭和初期に千葉県成田市の御料牧場で牧野富太郎先生が見つけられたのが最初、と言われています。
写真でもおわかりいただけると思いますが、葉や茎に鋭いとげがびっしりと生えています。このとげがまた痛いのです。草花のとげだから、たいしたことはないだろうとタカをくくっているとひどい目に遭います。ぐさっ、ぐさっと刺さります。”「ワルナスビとは「悪る茄子」の意である。………我が圃中に植えた。さあ事だ。それは見かけによらず悪草で、それからというものは、年を逐うてその強力な地下茎が土中深く四方に蔓こり始末におえないので、その後はこの草に愛想を尽かして根絶させようとしてその地下茎を引き除いても引き除いても切れて残り、それからまた盛んに芽出って来て今日でもまだ取り切れなく、隣の農家の畑へも侵入するという有様。イヤハヤ困ったもんである。
それでも綺麗な花が咲くとか見事な実がなるとかすればともかくだが、花も実もなんら観るに足らないヤクザものだから仕方ない。こんな草を負いこんだら災難だ。………。
この始末の悪い草、何にも利用のない害草に悪るナスビとは打ってつけた佳名であると思っている。そしてその名がすこぶる奇抜だから一度聞いたら忘れっこがない。」”
軽妙な語り口で、このワルナスビ(悪茄子)のやっかいな特徴を伝えていますね。それに、ご自身でおつけになったワルナスビ(悪茄子)という名前をとても気に入ってらっしゃる様子に、ちょっとお茶目なその人柄も見え隠れしたり。