蟻塚より
花散らす目白群がる八分咲き
眠くなる日課となりてかたつむり
誰かへと呼びかけながら飲酒癖
桜靄瓦に移り銀鼠
幻想のカダフィの天下今壊れ
カダフィの傭兵帰るやクーデター
春あかねけふは見れぬわ桜靄【さくらもや】遅れ遅れに耶蘇の鐘来る
抽斗【ひきだし】に陶皿入れて整理する机の上は本が散らばり
倦怠を慰むるものなきわが前にただモニターのみが白く開けたり
かたちなすキーボード独り付き添ひてわれと感応しては歌なす
水彩の絵のやうなイラスト持つてきて主題練りつつ一首ひきだす
花冷えのどこにも見えぬ影法師
キーボード変換遅し虻の声
空貝【うつせがい】耳元に当つ辛夷【こぶし】散る
翳りなきデモ参加者に春はやて
俺たちのもめごと丸む里桜