2013-09-06 石の余生 死骸(なきがら)の蛆が砦に汗をかく 戸を閉めてぢごく長屋に咳の声 黄表紙を魚油の灯で読む鰥夫(やもめ) どんぐり銀行債権はまだ持っている 後添いの秋思はここに孕まれて 刻まれて石の余生を思いゆく あの世でもこの世でもない倦怠期 せりあがるガードレールを右に切る むつごろう酢橘(すだち)を酎に絞り入れ ズブロッカ グラスも凍らせとろと注ぐ