発生しなかった「危機の円高」
今回、日米政策金利差が0%という金利環境下で、円高が止まり、さらには値幅が20円に達するドル高円安トレンドさえ形成したということである。こうした変化は、1971年の金ドル交換停止(ニクソンショック)以降、一度も経験したことがないものだ。過去40年続いた円高構造が円安構造に変化し始めたことを感じさせる。今、まさに歴史的な円安が進行しているのである。
<発生しなかった「危機の円高」>
まず認識すべきなのは、確かにドル高円安が加速したのはこの半年だが、ドル円が大底を打ったのは2011年10月であることだ。
最近では、米当局者などから事実上のアベノミクス支持の声が相次いで聞かれるようになってきている。日銀の金融緩和による秩序だった円安であれば、米国は黙認するということだろう。経済構造的にも、地政学的にも、日本は円高デフレ均衡から抜け出す好機を迎えている。